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37年の人生「菱田春草」 [美の巨人たち]

今週の「美の巨人たち」は、菱田春草「黒き猫」です。また、東京国立近代美術館でも「菱田春草展」開催中です。

hishida_shunso.jpg

菱田春草(ひしだしゅんそう)は、明治時代の日本画家です。
1890年に東京美術学校に入学しました。
ちなみに東京美術学校は1889年に開校するので、春草は2期生です。
(ひとくちメモ☆「東京美術学校」☆戦後に東京美術学校は、東京音楽学校と合体して「東京芸術大学」になります。)

春草は、のちに東京美術学校の教官にもなるのですが
岡倉天心(おかくらてんしん)という当時の校長(機会をみて岡倉天心のこともまた書きます)
が大学を辞めることになり、天心と心を通わせていた春草は
天心についていく!ということで共に大学をやめます。
他にも横山大観(よこやまたいかん)など天心に慕っていた教官も一緒にやめます。

そして、天心リーダー率いる俺達(春草、大観などの教官陣)が
「西洋絵画のスケールに負けない新しい日本画を作ろう!」という目標を掲げ、
「日本美術院」という団体を結成します。

ここから春草は、貧困で生活が苦しくなり、かつ病気で目も悪くなるのですが・・
すさまじいファイティングスピリッツで新しい自分の画風を開拓しはじめます。

その中に、「黒き猫」があるのです。彼が亡くなる一年前の作品です。
この頃はおそらく、ほぼ失明に近い状態のはずです。
彼は37歳という若さで亡くなりました。
まさに、命を削って描いていたのではないか、そんな気がします。

春草の絵でおそらく一番有名な絵は、
「落葉」(おちば)です。近代日本画の代表作とも言われています。
黒き猫の一年前に描いています。

shunso_left.jpg

落葉において彼は、日本的わびさびの表現や屏風に書くという伝統、
そして西洋絵画の伝統である写実表現、日本では当たり前であった線描の否定、空気遠近法の導入。
それら日本と西洋の伝統をうまくMIXし、彼なりの新しい日本画を生み出します。
(ひとくちメモ☆「空気遠近法」☆遠くにあるものをぼかして薄くしていくことで遠近感をだします。)

苦難の中で彼は、作品を作り、「自分の表現」を生み出しました。


~「菱田春草」作品展・TV番組のご案内~

菱田春草展/2014年9月23日(火・祝)~11月3日(月・祝)/東京国立近代美術館

菱田春草「黒き猫」/TV東京/「美の巨人たち」/ 2014年10月11日放送

~「菱田春草」をもっと知りたい方へ~

もっと知りたい菱田春草―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)


近代日本画、産声のとき―岡倉天心と横山大観、菱田春草


菱田春草 (別冊太陽 日本のこころ 222)






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